クルセイダーキングス3のDLC「Royal Court」についての紹介とレビューになります。
目玉
・王宮の追加
DLC「Royal Court」を導入すると王宮にアクセスすることが可能になります。王宮はあなたの宮廷の様子を3Dアニメーションで表現します。王宮では国内の問題についての臣下からの陳情に裁定を下したり、プレイヤーが獲得した宝物を展示することができます。
・文化の追加要素
DLC「Royal Court」を導入すると2つの文化を融合させた「混合文化」を形成できたり、既存の文化の分岐として「分岐した文化」を形成することが可能になります。
値段
定価 3990円(2024/06/01現在)
解説
王宮
王宮は王以上の称号をもつキャラクターがアクセスできます。右メニューに「王宮」が追加され、クリックすると3Dのグラフィックで表現された宮廷の画面に移ります。ここで登場している人物は実際に宮廷に仕えている延臣や客人、配偶者が描写されています。
この王宮では時間経過で宮廷内や領国内の様々な問題の解決を促すようなイベントが発生します。5年に1度使える「謁見」を使えばそうしたイベントを即時に3つ起こすことができます。謁見には威信を消費します。
イベントの例
・宮廷職を望むキャラクターの処遇をどうするか
・封建契約の修正を望む封臣にどう対処するか
・ひどいにおいの宮廷にどう対処するか
宮廷の威光
王宮には宮廷がどれだけ有名かを示す「宮廷の威光」というステータスがあります。この値が増加すると宮廷の威光レベルが増加し、レベルが増加するごとに様々な追加効果を得ることができます。
宮廷の威光は前述の宮廷内のイベント等で上昇の可能性がありますが、時間経過で徐々に基本値に近づいていきます。基本値を上昇させるにはファッション、食事、召使い、寝室といったもので宮廷の快適さを高める必要があります。これらの質を高め、快適さを高めるためには毎月のゴールド支出が必要になります。
また、宮廷の威光の期待値といった値もあり、宮廷の威光がこの値を超えるとボーナスが、下回るとペナルティが生じます。(月間獲得威信と名誉、他の人物からの評価等)宮廷の威光の期待値は領国の規模が大きいほど高くなります。
宮廷の威光レベルボーナス
レベル | 効果 |
1 | 宮廷タイプレベル1の効果 |
2 | 宰相任務「王家の恩寵を授ける」追加 |
3 | 元帥任務「近衛兵の管理」追加 |
4 | 宮廷タイプレベル4の効果 |
5 | 延臣にレベル1宮廷特性追加 |
6 | 家令任務「慣習的領土内の地域の説得」追加 |
7 | 封臣後見人受け入れ+20 投獄の可能性+10 宮廷タイプレベル7の効果 |
8 | 延臣にレベル2宮廷特性追加 |
9 | 封臣後見人受け入れ+20 投獄の可能性+10 月ごとの名誉+5% |
10 | 宮廷タイプレベル10の効果 |
宮廷タイプ
文化の特色により2つから選択可能です。部族制の統治者は部族制の宮廷のみ選択可能です。
タイプ | レベル1 | レベル4 | レベル7 | レベル10 | 文化特色 |
外交的な | 臣従関係の提案が受け入れやすくなる | 暴政の獲得-20% | 評議員の評価+10 | 最大個人計画+1 | 宮廷的 平等的 克己的 |
好戦的な | 騎士の効力+10% | 有力な封臣である評議員の徴募兵貢献+10% | 常備軍への迎撃効率+10% | 常備軍連隊の規模+1 | 官僚的 克己的 好戦的 |
管理的な | 建造物の建設時間-10% 建造物の建設コスト-5% | 文化受容の促進の効果+30% | 領国首都の開発度の成長+0.2/月 | 封臣の税金貢献+10% | 官僚的 平等的 宗教的 共同的 |
策略的な | 秘密計画+5% | 計画の支援の効果+20% | 敵対的計画へのスパイ受け入れを増加 | 最大敵対的計画+1 | 共同的 好戦的 |
学術的な | ひらめきを得た人物が訪れやすくなる | 延臣と客人の評価+15 | 月間ライフスタイル経験+10% | 名声レベルごとの学識+1 延臣と客人:学識+1 | 宮廷的 宗教的 |
タイプ | レベル1 | レベル3 | レベル5 | レベル7 | レベル10 | 備考 |
部族制の | 騎士の効力+5% | 軍勢の戦利品限界+20% 略奪速度+20% | 恐怖の獲得+25% | 封臣の評価+5 | 常備軍維持費-25% | 1年ごとに最大3回延臣と客人は武勇1増加 |
追加される評議員任務
宰相:王家の恩寵を授ける
月間獲得威信と、割り当てた封臣の評価が上昇します。
元帥:近衛兵の管理
騎士の効力が上がり、敵の敵対的計画の成功率が下がります。
家令:慣習的領土内の地域の説得
100%到達時、任務対象の伯爵領からその統治者に対して、自身を慣習的領土の主君へ譲り渡すよう要求が発せられます。プレイヤーが持っている称号のの慣習的領土を持っている独立領主に対して行えます。
宮廷の特性
宮廷の特性を得るには少なくとも5年間延臣である必要があります。宮廷の特性レベル1は宮廷タイプに応じた能力値が1上がるだけ(好戦的な延臣は武勇も+1)なので割愛します。部族制の宮廷は好戦的な延臣になります。
宮廷タイプ | レベル2特性 |
外交的な | 外交+2 威信+0.3/月 月間外交ライフスタイル経験値+15% |
好戦的な | 軍事+2 武勇+2 常備軍維持費-5% 月間軍事ライフスタイル経験値+15% |
管理的な | 管理+2 支配成長+0.2/月 月間管理ライフスタイル経験値+15% |
策略的な | 策略+2 自然な恐怖+10 敵の敵対的計画の成功率-10% 月間策略ライフスタイル経験値+15% |
学術的な | 学識+2 開発度の成長+20% 月間学識ライフスタイル経験値+15% |
宝物とひらめき
王宮内には宝物を展示できる場所が15か所あります。ただ、大きな壁飾りスロットには大きな壁飾りの種類の宝物を、本スロットには本の宝物をといったように、各スロットは対応した宝物しか展示できません。宝物は展示するとその宝物の効果を発揮しますが、耐久度を消費しません。
また、王宮には「ひらめき」を持った人物が訪問することがあります。ひらめきとは宝物の作成に関するアイデアのことで、ひらめきを持った人物は宝物を作成するプロジェクトに出資してくれる統治者を探して世界中を旅しています。このひらめきを持った人物は宮廷の威光が高いほど訪れる確率が高くなります。ひらめきをもった人物にゴールドを払って出資すると宝物を作成する一連のイベントが起こり、完成した暁にはその宝物を手に入れることができます。作成される宝物は作成者の能力値等にも左右されますが、一般的な「宝物の製作依頼」で作成されたものよりも高品質な宝物である可能性が高いです。
文化
混合文化
混合文化は既存の文化2つを合体させて作り出すことのできる文化です。混合文化は系統の違う文化同士で作ることができ、その文化が自領内にあることと、文化同士の「文化の受容」の値が一定以上あることが条件です。作成にはコストとして威信が必要になります。
混合文化は元となる文化の文化的支柱、伝統、美学を双方から組み合わせて作ることができます。どちらか片方の文化的支柱からのみから選ぶことでは混合文化は形成できず、必ず2つの文化の要素をとって作成する必要があります。
混合文化の形成時、文化の受容が高いほど混合文化に転向する伯爵領が多くなります。また、混合文化の統治下では混合文化を形成した後の50年にわたって、元文化の伯爵領に対する「自文化への変更」任務がより早く完了するようになります。
また、新たな混合文化は元の文化のどちらかが既に獲得している革新を自動的に獲得します。
分岐した文化
分岐した文化は統治者が既存文化から派生させて成立する文化です。分岐した文化は系統を引き継ぎますが、他は元文化から変更することができます。言語と美学を変更できることは選択肢がないことが多く少ないですが、特色は全7種類から選ぶことができ、軍の慣習も法律がそろっていれば変更が可能です。伝統も条件を満たす好きな伝統に変更が可能です。分岐した文化の形成にはコストとして威信がかかりますが、このコストはどれだけ多くの自文化地域を支配しているかによって変動します。
文化の改革
各文化指導者は文化の特色、軍の慣習、伝統を改革で変更できるようになります。各変更には威信が必要で、変更は即時完了せず、時間経過で改革が完了します。変更にかかる時間は文化の規模によって決まります。また、同時並行でいくつかの要素を改革することはできず、1つの要素の改革が完了しないと次の改革は行えません。どのくらい文化の要素を変えたいかで上述の「分岐した文化」と使い分ける設計になっているのだと思います。
王朝の遺産
新しい王朝の遺産ツリー「慣習」が解禁されます。
1段階目 語学生
少数派である封臣の評価 +10
言語を学ぶ策謀力 +20%
追加で1言語をペナルティなしで習得可能
言語を学ぶ計画を完了すると文化の受容が1%上昇
2段階目 敏腕の通訳
最大言語を学ぶ計画 +1
文化受容の促進効果 +30%
3段階目 意思疎通
文化の志向の進捗 +10%
自国の文化圏に異なる文化の封臣を任命すると弱いフックを獲得
4段階目 伝統の尊重
文化の受容の獲得量+20%
文化使節 宮廷職アンロック
文化使節
威信0.1/月~1.0/月
異なる文化の評価 +2~+20
5段階目 共存共栄
異文化を讃える決断アンロック
異文化を讃える
文化の受容が75%以上の場合、異なる文化の伯爵領において、開発度、支配、建造物のコスト、防衛側優位性を改善できる決断です。決断を下すと威信と徴募兵も増加します。領国にある全ての所領が影響を受け、ゴールドのコストは影響を受ける所領の数に比例します。
評価
S 必須級
A 買うべきだと思う
B 買った方がいいと思う
C セール中なら買った方がいいと思う
D 買わなくていいと思う
E 買わない方がいいと思う
上記の判断基準で「Royal Court」を評価するならば自分の評価はDです!
もっといえば少しCに近いDかなと思います。定価が約4000円ですが、50%オフでも高いかなといった印象で75%オフくらいなら買ってもいいかなといった評価です。フルプライスでの購入はおすすめしません。
ではなぜ低評価かというとメインコンテンツである「王宮」の残念さ、それに伴う価格の高さが主な要因です。
まずグラフィックから。開発者が公開している開発者日記には王宮のグラフィックにだいぶ力が入っている様子がありました。確かに実際の延臣を3Dで描写しているのはすごいことなんだろうなと思います。ただ、実際に王宮の画面に行き、グラフィックに感動するかといわれると答えはノーです。正直そこまで荘厳さがないですし、そもそもなぜ王の周りの狭い空間にこれだけ人が集まっているのだろうという違和感さえ覚えます。そして正直プレイヤーにとって王の周りにいる人物が実際の延臣と背格好が同じだろうが同じじゃなかろうがどうでもいいのです。同じじゃなくても名無しの召使い等なんだなと脳内補完できるわけですしね。おそらくこのグラフィックが強気な値段設定につながっているのではと思いますが、プレイヤーのプラスにはほとんどなっていないので、これを理由に値段が高くなるのは受け入れられないと思います。
そして王宮でのイベントも自分にはあまり魅力に映りませんでした。イベントの内容はよくいえばロールプレイ向き、リアル志向です。というのも、基本的に陳情なのでプラスのイベントはほとんどなく、「うーん、それは無理だな」となるものや解決にゴールドや封臣の評価を失うものが多いです。パターンもそこまで多くなく、よほどロールプレイを重視したプレイじゃないと「謁見」のコマンドは使わないと思います。(なぜか威信がかかるし・・・)ここはこういった類のイベントを面倒くさいと思うか、実際の中世領主の苦労を表しているとプラスにとるかで評価は変わると思います。
そして宮廷の威光について。威光によって様々なボーナスがあること自体は悪くないシステムかなと思いますが、威光をあげる基本的な方法が月々のゴールドを支払うだけというのは雑かなと思います。ゴールドを支払う限りは魅力的な報酬が必要ですが、ゴールドの支払額が結構バカにならない額を要求される中で、この報酬というのは自分には物足りなく感じました。そもそもゴールドという常備軍等他の使い道が強力なリソースを使うということにしていることがバランス調整を難しくしているのではと思います。
そして「宮廷の威光の期待値」を下回るとデバフ付与というのが最悪です。これにより一定量のゴールド支出かデバフかを選ばなければなりません。これによってDLCの導入がマイナスであるという人もでてくると思います。正直王宮システムだけの場合の自分の評価はEになります。
王宮についてもっといえば、ゲームから独立していることも残念です。王宮には王宮イベント以外は用が無いので、王宮イベントをマイナスに感じるプレイヤーにとってはほとんど無いものとしてゲームが進んでしまいます。
総じてDLCのメインコンテンツであるにもかかわらず、ロールプレイしたい人は触ってねというフレーバー的なコンテンツにとどまっているという印象です。いうなればDLCの正しい姿なのかもしれませんが、これがメインコンテンツで4000円は高すぎます。
長くなってしまいましたが続いて文化の追加要素についてです。自分は文化についての追加要素はまずまず良いものだと思うのでDLCの評価をDにしました。文化指導者によって文化が変わっていくのは理にかなっていると思いますし、強いと思う伝統や特色を導入できるのはいいことだと思います。ただ、宗教改革がバニラ(DLCなし)でできるのだから文化についてもバニラでできるようにすべきでは?とは思います。。そしてこの文化の改修の内容だけを目当てに、4000円は高すぎるなあと感じるわけです。
文化の改革以外の文化要素でいうと「分岐した文化」もより大胆に文化を改革したいときの選択肢として良いと思います。ただ、「混合文化」は混ざり合う文化といったコンセプトはとても良いと思うのですが、仕様がちょっと大味だなと思いました。単純に言語はこっちの文化で、服装はあっちの文化でと均等に混ざることってあるのかな?と思ってしまいます。(勉強不足でしたらすいません)というよりも、支配する文化と支配される文化があって、支配される文化がどんどん支配する文化に同化していくけど、根幹の部分は同化せず、文化として残るみたいなのが自分の混合文化のイメージに近かったです。なんというかゲームの仕様だと文化が混ざり合う理由付けが薄いかなと感じてしまいました。
まとめ
以上、長くなりましたが「Royal Court」のレビューでした。まとめると王宮システムが残念で、文化の改修についてはまずまず良いけれど、それだけを目当てに4000円は高いよね・・・というのが自分の意見です。お読みくださり、ありがとうございました!
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